僕と君とのともだち記録











キラが下に降りると、味噌汁のいいにおいが鼻をくすぐった。



テーブルの上には、マンガでしか見たことのないような量のご飯が茶碗に盛られて
置かれていた。



どう考えても朝からこれは
多すぎるのだが、言えば、



男のくせに何を言っているのだと、
怒鳴られるため、

キラは黙って椅子に座り、

「いただきます」

と呟きながら山盛りのご飯に箸を
つけ始めた。

味噌汁をすすっていると、
リビングの方から母,京子のかん高い
声が聞こえてきた。


「要らないっていってんでしょ!
しつこいのよ!」

教材の押し売りか何かだろうか、

京子が怒鳴るが、相手もなかなか
引き下がらないようで、

もうずっと
電話を通した戦いが続いていた。

「はぁぁ.....」

キラは大きなため息を1つついた。

なかなかの美人なので、
黙っていれば、いい人の1人や2人
見つかると思うのだか.......


「キラ! あんたもう学校行きな!」


残念なことにこの性格だ。

息子のキラでさえも思わず震え上がって
しまう。

今日3回目のため息をつきながら
準備をして、靴を履いていると、

リビングから京子が出てきた。

「キラ、自信持って、楽しんできな。」










キラは知っている。



京子が自分のために再婚もせず、
懸命に働いていること。


いつも自分のことを考えてくれて
いること。


今の言葉も、京子なりの自分への
励ましだということ。


そんな京子が大好きだという気持ちのみ、

キラはまだ、 知らない。



「大丈夫。行ってきます。」


京子を安心させるように微笑み、

日射しのふりそそぐ外へと
足を踏み出した。
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