恋する貴方はナルシスト?!
一度、なんでそんなに数学が好きなのか聞いたことがあった。
「だって美しいじゃないか」
その答えた先輩は、いつもの美しい笑顔とは違う、年相応の、いやそれよりももっとずっと幼い無邪気な笑顔だった。
独り占めしたいくらいの。
「では、サエコくん、ピタゴラスについて、基本的なことを教授しよう、ピタゴラスは…」
長々と講釈が始まったから受け流しつつ物思いにひたる。
出会った時はこんな人だなんて思ってもみなかったなあ。