大好きだったあいつ
「いっつも年の事言う!
年取ってても中身のない人なんて沢山いるもん!」
誤魔化す様に早口で彼に言うと、考えるように再び下を向いた。
「俺もそんな大層な人間じゃないし。
…こういう経験がお前の中身になってくんだろ。」
サラッと言う言葉が、最大の励ましになった。
何なんだろう、この人。
ぎゅっとブランコの取っ手を握りしめ、彼を見つめる。
反応しないあたしに振り向いた彼と視線が合う。
「…………。
お前さ、さっきから思ってたんだけど。」
「へ?」
グイッと不意に顔を近づけてきた洋平さんに固まる。
「…………やっぱり。
俺の事好きだろ。」
低い声と綺麗な声に惑わされて、言葉が入って来なかった。
「…そう、好き………え!?
びっくりしたぁ!
いきなり何を言っ…」