大好きだったあいつ
デート
黒い髪を少しでも大人っぽく見えるように分け目を変えてみたり、お化粧をして雰囲気を変えてみたり、私服は背伸びをして高校生らしくない物を選んだ。
家まで迎えに来てくれるらしく、ドキドキして待っていると、黒い車が目の前で止まった。
窓が開いて、洋平さんが顔を覗かせる。
私服だ……!!
キュン、とときめきながら、助手席に滑り込む。
ふわっと香るタバコの香りに初めてタバコを吸う事を知った。
「お願いします♪」
「…で?
どこ行きたいんだっけ?」
「えっ!?
えっと…」
行きたい場所なんて全く考えていなかったあたしは焦った。
そんなあたしを見兼ねて、洋平さんが車を走らせた。
「なんか、ヒマワリ畑があるみてーだから、そこ行ってみるか。」
うん。と頷くあたしに、音楽のボリュームを上げる。
何もかも高校生のあたしには大人に見えて、ドキドキした。