大好きだったあいつ


「ぷっ」


吹き出したあたしに、皆が注目した。

「…なんだよ。」


ブスっとするこうちゃんに、唯さんと目を合わせてクスクス笑った。

「照れてる。」

「照れてるね。」


「照れてねーし。」


不貞腐れる浩一にまた笑いながらも洋平さんの様子を伺う。
そしてあたしの顔は強ばった。

あの人の視線は完全に笑う唯さんを見ていて、優しく微笑んでいた。
愛おしそうに。


……なんでそんな顔してるの?


「…あたしは唯さんが羨ましいなぁ。
こんな一途に大事にされてて!」


あたしの小さな抵抗。

「そうだね。
幸せだと思ってるよ。」


そんなあたしに、優しく微笑んだ唯さんはやっぱり綺麗だった。





< 133 / 146 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop