大好きだったあいつ


妹、仕方なく



この言葉にあたしは下を向いた。


泣きそう……
絶対、泣いちゃダメだ。


「…あたし、とんこつで。」


メニューを見るふりをする。


「俺塩で!」


洋平さんの気持ちはよく分かった。
いや、分かってたつもりだった。
あたしなんて、ガキンチョぐらいにしか思われてないって。


だけど、どっかで可愛いなって思ってくれたらって……


デートしたって、密室にいたって、あたしじゃあ何も変えられないって思い知らされた。


きっと同世代の女の子だったなら、ラーメンなんて選ばないし、オーナーに彼女か間違われるはず。



< 22 / 146 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop