大好きだったあいつ
「あたしに同級生の好きな人なんていないの。」
「え?」
怪訝そうに顔をしかめる洋平さんに怯む。
「…あたしの好きな人は…洋平さんだから…」
重い沈黙が続くーーー……
「…………は?」
冷たく低い声に、あたしの胸は嫌な感じに高鳴る。
「ほのかちゃんの好きな人って、ずっと俺だったの?」
"気付かなくてごめんね。"
"ありがとう、嬉しいよ。"
そんな言葉を想像していた。
それなのに、恐る恐る顔を上げた先には心底迷惑そうな顔をする洋平さんがいた。
「いや…、妄想も大概にしなね。」
バカにした様な物言いに凍り付いた。