大好きだったあいつ


「…そんな簡単に上手くいくと思ってんの?
この数年間どんだけ男騙せたか知らないけど、あんまり男なめてると痛い目合うよ。」


冷たい目であたしを見て、ふいっと戻って行った。


痛い目見るのはそっち(男)の方じゃない。



あたしも席に戻ると、一郎の隣に再び座る。

ぎゅっと手を握ると、顔を近付ける。


「今気持ちイイ酔い方してて、体が火照って熱いの。
…触って?」


首元に手を誘導してやる。
わざと少し開いた胸元に、一郎は顔を赤らめる。


よし、これで期待しない男はいない。




数分後、飲み会はお開きとなった。
あたしはもちろん、一郎の元に向かう。


「一郎くん♡
この後どうする?」


「どっか行く?」


「うん!行く♡」


腕を組んでチラリと洋平を見ると、女に囲まれていた。
ほぼ皆が洋平狙い。



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