大好きだったあいつ
沙弥はあたし達が解散したのをちゃんと見ただろうか?
連絡入れる暇がない。
「ここでいい?」
!?
すでにホテルの入り口に来てしまった!
やばい!
「あ、あのね…親に連絡入れたいから…ちょっとだけ待ってて?」
「あぁ、うん。」
慌てて携帯を取り出し、沙弥に電話をする。
しかし、なかなか繋がらない。
おい、何してんの!
早く早く!
"もしもし?"
「もしもしじゃない!
今!ホテルの前!
沙弥どこにいんの!?」
"今、慌てて追いかけたんだけど、見失っちゃって…名前なんてとこ?"
「えっと…○○ってとこ!
早く来てっ………」
携帯を持っている手を思い切り後ろに引かれ、振り返ると、怖い顔をした一郎が立っていた。