大好きだったあいつ


「……ちょっと手洗い行ってくるわ。」


洋平さんが離れた。


チャンス!


「沙耶!お願いだから、あたしと洋平さんをくっつけようとしないで!!」


沙耶に詰め寄ると、悪びれも無くヘラヘラ笑う。


「なんでよー?
絶対お似合いだと思う〜!」


「お似合いじゃなっ……」


「あの!」


あたしの言葉を遮って、3人じゃない声に全員が顔を上げる。

ウェイトレスが、気まずそうに立っていた。


「……はい……」


思わず返事をすると、慌てた様子であたしに早口で喋った。


「今席離れた人に、迷惑だと分かってるんですけど、これ渡しておいてもらえませんか!?
お願いしますっ!!」


バッと渡されたそれは、どう見ても番号が書いてあるメモ用紙だった。


「え…あの本人に渡した方が…」


「それが出来ないのでお願いしてるんです!
お願いしますっ!!」


走って去って行った彼女を全員が同じ顔で見送った。


「…てゆうかさぁ、ほのかの事彼女だって思わなかったわけ?」


「ど、どうしよう…。
あたしこんなのもらっても困るんだけど。」




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