大好きだったあいつ
「戻った。」
あわあわしているあたしを避けて座ろうとする洋平さんに、メモ用紙を差し出す。
「…何これ?」
不思議そうに紙を広げると、眉をしかめたので事情を説明する。
「今ウェイトレスさんが渡してって。」
「…どのウェイトレス?」
可愛いかどうか確認するんですか?
はいはい、と探して指を指すと、スタスタと彼女の所に歩いて行った。
え!?と3人でその様子を見守る。
洋平さんは、彼女にメモ用紙を勢い良く突き返し、不機嫌そうに言った。
「悪いけど、仕事中にそういう事する人無理だから。
あと、そういう事を人伝いにすんの、どうかと思うよ。」
再びこちらに帰ってきた洋平さんは、椅子に座るとイラついた様にお茶を一気に飲んだ。
あんぐり顔のあたし達を見て、コップを下ろした。
「…こういう事良くあるんだけど、俺許せないんだよな。
ひどいって思われるかもしれないけど、落ち着きたくて来てる客に失礼だと思うし。」