スイーツ男子、佐藤くん

今日で海の家も最終日。佐藤くんとはなんだかちょっとだけ気まずいような、なんとも言えない気持ちがあるけれど、佐藤くんが普通に接して来てくれるから、私もそれに合わせることにした。まるで、昨日のことなんて何もなかったかのように。

お店はなかなかの大繁盛だ。若い男女で溢れかえる海の家はきっと貴也さんが見ても喜んでもらえるだろう。きっとそうだといいな。私は忙しなく店内を左へ右へと走り回る。きっと作る側は大変だろうな…と思い、ちらりとそちらへ視線を向けると、そこでは前髪を上げた佐藤くんが、目にも止まらぬ速さで果物を切っていた。さすが専門コース…。

佐藤先輩と真広先輩は裏方で色々と回してくれている。本当ならば、顔立ちの良い先輩二人が店頭に立った方が売れると思うんだけどなぁ…とぼやきながら、私は伊織くんに渡された皿をテーブルへと持っていく。何度も繰り返しているとさすがに暑くなってくる。今は水着の上にTシャツを着て、その上にエプロンだけど…あとでTシャツ脱ごう。汗で薄手のTシャツが張り付いて気持ちが悪い。早く休憩もらいにいこっと。