スイーツ男子、佐藤くん

「佐藤先輩、お水ください…。」

「あら、休憩にしましょうか。交代するわね。」

先輩は軽く微笑んで了承した。私は佐藤先輩の座っていた椅子に腰掛けると、近くに置いてある冷蔵庫から冷えたミネラルウォーターを取り出した。冷気がまるで煙のように吹き出している。口の中に流し入れると、突然の冷たさに思わず心臓が跳ねた。水が体内に広がって行くと、いつの間にか暑さは感じられなくなった。

私は汗で肌に張り付いたTシャツを水着の上から脱いだ。一枚脱ぐとやっぱり涼しくて、なんだか体感温度が2度か3度下がった気がする。もちろんその分、日焼けは気になるけれど。水分補給によって復活した私は、佐藤先輩と交代しよう、と椅子から立ち上がる。その時、前に影が出来た。前を向くと、そこに居たのは少しだけ目を逸らす佐藤くんだった。