スイーツ男子、佐藤くん

パーカーを羽織りながらまたお店に出ると前よりもお客さんはいくらか減っていて、空席が目立つようになっていた。何故だろうか、と首をかしげると、後ろにいた志優先輩が「天気見ろ。」とお店の外を指差した。

「あー…雲行き怪しいですね。」

「そろそろ店じまいでもするだろ。千代子もそのつもりらしいしな。」

佐藤先輩を見ると先輩は外の天気と中にいるお客さんの数を数えながら、うんうんと悩んでいた。どんどんと空は鉛色になって来ていて、雨でも降るんじゃないか、という暗さだった。

「…志優、店じまいよ。お客さんのオーダーも全部終わったし、雨も降るだろうから、早めに帰ることにするわ。真広は鍵閉めて。伊織と慶太はお皿を全部洗っちゃって。そうね、私たちは道具を片付けましょうか。」

佐藤先輩の指示で私達は一斉に動き出した。お客さんもいつの間にか居なくなっている。雨が降るまで、もうタイムリミットは少ない。