スイーツ男子、佐藤くん
5.目覚めよ少女
秋です。食欲の秋、芸術の秋、スポーツの秋、読書の秋。人それぞれ思い浮かべる秋があると思うけれど、私の秋はやっぱりスポーツだった。
というか、周りの人に無理やりスポーツの秋にさせられているんだけどね。
夏休みから早一ヶ月が経ち、現在は九月半ば。私たちの学校は、体育祭ムード一色だ。
赤、白、青、黒。
四つの団に分かれて戦う体育祭。正直、あまり体育祭自体にはいい思い出がない。翌日はいつも身体が軋むし、当日は休みなんてないものだ。体育祭と球技大会の日だけは、自分の運動神経を恨む。
「…じゃあ藤山さん。障害物競走と100mよろしくね。」
「ふ、ふぁい!」
ぼーっとしていたからか、体育委員の言葉を変な返事で返すことしか出来なかった。恥ずかしさのあまり顔を俯かせていると、教室のドアが開き、誰かが入ってきた。ゆっくりと顔を上げると、入り口に居たのは志優先輩だった。その視線は私の方にまっすぐと向いていて、それに釣られるかのように、全員の視線が私に集まった。
「藤山、千代子が呼んでいる。早急にな。」
「わ、分かりました。」
要件だけを伝えると、志優先輩はピシャリとドアを閉め、去って行った。教室はまた騒がしくなる。
私、佐藤先輩に何かしてしまったっけ…!
というか、周りの人に無理やりスポーツの秋にさせられているんだけどね。
夏休みから早一ヶ月が経ち、現在は九月半ば。私たちの学校は、体育祭ムード一色だ。
赤、白、青、黒。
四つの団に分かれて戦う体育祭。正直、あまり体育祭自体にはいい思い出がない。翌日はいつも身体が軋むし、当日は休みなんてないものだ。体育祭と球技大会の日だけは、自分の運動神経を恨む。
「…じゃあ藤山さん。障害物競走と100mよろしくね。」
「ふ、ふぁい!」
ぼーっとしていたからか、体育委員の言葉を変な返事で返すことしか出来なかった。恥ずかしさのあまり顔を俯かせていると、教室のドアが開き、誰かが入ってきた。ゆっくりと顔を上げると、入り口に居たのは志優先輩だった。その視線は私の方にまっすぐと向いていて、それに釣られるかのように、全員の視線が私に集まった。
「藤山、千代子が呼んでいる。早急にな。」
「わ、分かりました。」
要件だけを伝えると、志優先輩はピシャリとドアを閉め、去って行った。教室はまた騒がしくなる。
私、佐藤先輩に何かしてしまったっけ…!