スイーツ男子、佐藤くん
「会長!何の御用ですか?臨時の打ち合わせっていうから急いで来たんですよ!」

「…理玖、少し黙って。」

勢い良く生徒会室に入って来たのは、黒髪の男女だった。
はじめて見る人だった。
特に女の子の方なんて、まるでクールビューティーという言葉を擬人化したような子だ。

「ごめんなさいね、呼んでしまって。えーっと、じゃあ自己紹介してもらってもいいかしら。」

「自己紹介?」

男の子が不思議そうな顔をしながら振り向いた。
きょとん、とした顔で意味が分かっていないようだった。

「えーっと、普通コース2年4組の日下部理玖っす。ちなみに会計。よろしく!」

「…料理科の日下部羽実。理玖と同い年よ。…書記をやっているの。」

同じ名字だから、きっと双子なのだろうか?
二人の自己紹介に続けて、伊織くんが口を開いた。

「楠木伊織、美容科。よろしくな!」

「佐藤慶太、料理科だよ。あぁ、日下部さんとは同じクラスだから…はじめまして、ではないけどね。」

「…知ってる。あなた、いつも先生に褒められているもの。」

「知ってたんだ。ありがとう、日下部さん。」

「…別に。」

日下部さんはぶっきらぼうにそう答えるけれど、頬は少し桃色になっていた。
二人のやり取りを見ているだけでどこか心臓が痛くなる。
仲がいいのは当たり前だよ。
だって2人はクラスメイトでー…

とそこまで考えたところで、まだ自分が自己紹介をしていないのに気付いた。

「ふ、藤山沙智、普通コース2年2組です。よ、よろしくお願いします…。」

震えた声で自己紹介をすると、それを見ていた日下部くんが「よろしくなー」と言った。

日下部くん、いい人かもしれない…。
なーんて、私は単純だと思う。

< 140 / 148 >

この作品をシェア

pagetop