スイーツ男子、佐藤くん
私のことを沙智、と呼び捨てにするのは友達と両親くらいだった。
佐藤くんや会長さんはサチちゃん、伊織くんや志優先輩は藤山。真広先輩は藤山ちゃん。

だから沙智、と男の子に呼び捨てされる機会はあまりなくて。
久々に呼ばれたからか、私の心臓は大きく跳ねた。

「り、理玖…。」

「なに?沙智。これからも呼んでね、そうやって。」

理玖はイタズラが成功した子供みたいに笑った。悪気はないみたいで、ニコニコとしているだけ。
私はそんな理玖に文句の一つも言えなかった。

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