スイーツ男子、佐藤くん
ううん、まだ分からないよ。と首を横に振って無理やり忘れるように言い聞かせた。

「沙智!クレープ食べに行こう!」

「あ、いいね、それ!行こう!」

理玖はそんな私の様子に気づいていないらしく、楽しそうにニコニコしていた。羽実ちゃん達は私に気づかずもう何処かに消えて行った。

「…沙智、何考えてるの?」

「…え?」

理玖は立ち止まって振り返り、私をじっと見た。

「さっきから困った表情してる。俺といるの、楽しくない?」

「そんなわけないよ!理玖はその、良い友達だと思うし…。」

「友達、かぁ。…まぁいいや。でもさ、俺といる時に他の人…しかも男のことを考えるって、俺はちょっと嫌かな。」

「!」

理玖は気付いていた。
私が佐藤くんと羽実ちゃんのことを気になって仕方が無いことを。
私は隠しているつもりだったのに。

「沙智、佐藤のことは今は忘れてよ。今は俺に集中してよ。お願いだから。」

少しだけ、理玖の声は震えている気がした。
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