スイーツ男子、佐藤くん

青いネクタイ…それと男の子に似合わない薄い黄色のエプロン。この教室…えっと、調理室？

「…えっと、ごめんね。痛かったよね。…大丈夫？」

「だ、大丈夫…。」

「なら良かったぁ。あ、えーっと…その…僕、あまり女の子と喋らないから分からないけど…アップルパイ、好き？良かったら食べていかない？」

突然の誘いに驚いたのは私。…アップルパイ、嫌いじゃないからいいかな。なんて。それに外の人と走り回るよりここでゆったりアップルパイ食べてたほうが楽しいかも…。

「た、食べたいなぁ…。」

「ほんと？ありがと、僕すぐに準備するから！ちょっと座ってて！」

いつの間にか用意されていた椅子にぽふん、と座る。オーブンからはなんだか甘いいい匂い。きゅうう、とお腹が鳴り、思わず顔が真っ赤になった。

「ははっ！いっぱい食べてね！」

笑いながら差し出されたアップルパイ。艶やかでとっても美味しそう。手を合わせてから、フォークでパイを刺す。