スイーツ男子、佐藤くん
「ふう…助かったわ。」

佐藤先輩はおでこに張り付いた髪を払いながら言った。そんな姿もまるで絵画のよう。美しいなぁ…。

「姉さん、なんで進路相談の先生から逃げてるの?大学進学じゃなかったの?」

「あら、私大学行かないわよ。」

けろっとした顔で言いのけた先輩に一同は破顔した。

「私ね、高校卒業したらカフェを開くつもりなの。慶太には言っていなかったけれど、来年半分はちょっとそれの勉強に費やすの。もちろん父さんと母さんの承諾はとってあるわ。」

「…勝手だなぁ。別に僕は反対しないけどね。」

「先生的には多分、進学して欲しいんだろうけれど…私はやりたいことあるし。大学はいつでも入れるから…。」

ふふ、と笑う佐藤先輩。夢があるっていいなぁ。夢を語る先輩の目は、宝物を抱きしめる小さな子供みたいに輝いている。

「もしお店を開いたら、遊びに来てね。」

きらん、とウインクをして先輩は去って行った。絶対に先輩のお店、行こう…!
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