スイーツ男子、佐藤くん
サクリ。

いい音を立ててパイをフォークが貫通する。小さく切り分けて口へと運ぶと、林檎のほのかな甘み。こんな美味しいアップルパイ、今まで食べたことないかも…。

「美味しい…!」

「そう言ってもらえると嬉しいなぁ。…そういえば、名前聞いてなかったよね。」

用意されていた紅茶を一口飲み、口を開く。

「藤山沙智…普通コース二年です。」

「あぁ、同い年なんだね。僕は佐藤慶太。専門コース料理科の二年だよ。よろしく、サチちゃん。」

「さ、サチちゃん…?」

「え、だめかな。」

きょとん、とした顔で見てくる佐藤くんに「いいえ」とは言えなかった。
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