スイーツ男子、佐藤くん

志優先輩の旅館は近づいてみるとやはり大きな旅館だった。

「すみません、ご予約を入れていた佐藤と申します。」

「佐藤…あぁ！佐藤のお嬢さんですか！若旦那、お呼びしますね！」

旅館の仲居さんはパタパタと駆けていき、遠くで「若旦那ー！」と叫ぶ声がいくつも聞こえた。

五分ほど経つと、長い廊下の奥から着流しを着た男の人がやって来た。何処か見覚えがある。まじまじと見てみるとそれは、気怠げに歩いてくる志優先輩だった。