スイーツ男子、佐藤くん
とは言うものの、運動部が外を彷徨いているため調理室からは出られない。

困った、どうしよう。

恐る恐る佐藤くんの方を向いてみると、佐藤くんは窓を指差している。え、どういうこと?

「ここ、二階でしょ?ベランダに実は非常用のはしごがあるんだよね。それ使えば、いいんじゃないかな。」

「それだ!ありがとう、佐藤くん!」

「お礼は…うーん、メアドでいいよ。」

「…へ?」

思ってもいなかった返答に思わず変な声。えっと、どうしたらいいの?

「メアドくれるなら、そこのベランダ使ってもいいよ。さてサチちゃん、どうする?」

私は何も言わずスマホを差し出した。メアドよりも今は逃げることが大切だもん。佐藤くんはすぐにメアドを入れると満足げに私に返した。

「はい、サチちゃんありがとね。開けておいたから行っていいよ。僕、扉の鍵は開けないから。」

「恩に着ます…じゃ、じゃあね!」

ベランダと飛び出した私は急いでハシゴを降り、一階へと向かった。
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