虹色コンチェルト
(ここから、錬ちゃんの泳ぐ姿、見れるんだ…)
少し緊張が解けて表情が綻ぶ。
その時、
目の前に誰かが立って視界を塞いだ。
「七河さんだよね?」
「え…?あ、うん…」
視線を上げると、
そこには凄く活発そうな女の子がニッコリ笑顔を浮かべていた。
「私、水野琴子。入学式以来だね」
「入学式……」
そういえば、前にもこうやって話しかけてくれたような気も、
しなくもない。
正直、入学式の時は緊張していたせいで周りがあまり見えていなかった。
(どうしよう…、全然覚えてない…かも…)
「名前は音羽ちゃんで合ってる?」
「う、うん」
歯切れの悪い反応に、
相手が首を傾げた。
「…どうかした?」
「えっ、と……ごめんね、良く覚えてなくて…」
「あ、そうだよねー。ちょっと挨拶したくらいだったもんね!」
「うん…」
「じゃあさ!今から友達になろうよ!ね?」
(友達っ。どうしよう…凄く、嬉しい)
ぱっと顔を輝かせる音羽に、
琴子がクスクス笑う。