虹色コンチェルト

 褒めまくられて、

どう切り返したらいいのか分からない。

 音羽はただただ気恥しさに視線を彷徨わせた。


「そういえば、知ってる?この学校に綾瀬朔真が在籍してるって」


 漸く解放してくれた琴子が口にした言葉に、

音羽はコクコクと頷いた。


「私たちより、1つ上の2先生…だよね」

「そうそう!今は海外公演で休学してるけど、ひと月後には戻ってくるって話だよ!」

「えっ……ほんと?」


 綾瀬朔真(アヤセ サクマ)。

 彼に憧れてここを選んだ。

 もちろん、

自分がやりたいことの為ではあるけれど、

 きっかけは彼であることに変わりはない。


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