虹色コンチェルト

「そんなに、意外…かなぁ…」

「ん?うん」

「……」

「でもね。だからこそ、聴いてみたいって思うよ。音羽の歌」

「え……?」

「やっぱり聴いてみないと、分からないじゃない?意外性を見つけられるのって、難しいことだと思うしさ」

「琴ちゃん……」


 ニコッと笑う琴子の笑顔に、

凄く救われた気持ちになる。

(琴ちゃんは、ちゃんと私の声を…聞いてくれるんだ…)

 嬉しくて、幸せで、

つい飛び跳ねたくなった。

 もちろん、

そんなことはできないけれど。

 ――キンコンカンコーン…。

 予鈴が鳴った。


「あ。それじゃあまた休み時間にね!」


 離れて行く琴子に頷いて、

高校生活最初の授業が始まった。


< 16 / 38 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop