虹色コンチェルト
「やっぱり広いね~。でも結構人多い?こんなもんなのかなぁ」
「そうだね……あ、琴ちゃん、あそこ…空いてるよ」
音羽は一番奥の席を指差すと、
そっちへ向かって足を踏み出した。
――ドンっ!
「きゃっ…!?」
肩に鈍い衝撃がきて、
音羽は小さな悲鳴を上げながらよろめいた。
「ご、ごめ…ごめんなさぃッ」
「音羽!大丈夫!?」
琴子がすかさず駆け寄ってきてくれた。
彼女に支えられながら、
ぶつかった長身の男子生徒に視線を向ける。
「悪い。大丈夫か?」
「え?…あ…」
「音羽?なんだ。お前も学食だったのか」
ぶつかった相手は、
錬次だった。