虹色コンチェルト

「おい。大丈夫か?」

「……あ、…おはよう」


 寝ぼけ眼で呟くように挨拶をする。

 凄く見慣れた顔が、呆れたような表情を浮かべて見下ろしてきた。


「はい、おはよう。さっさと着替えろよ?俺は下で待ってるから」


 相手が出て行ったあと、ハンガーに掛けておいた新しい制服に視線を向ける。


「……あ、そっか……もう高校生、なんだ」


 のろのろとベッドから這い出て、

真新しい制服に着替えた。

 入学式と始業式の日に着たけれど、

やっぱり新鮮さは薄れていない。

 締まりのない口元に、小さな笑みを浮かべた。

 七河音羽(ナナカワ オトハ)。

 この春から高校生、

(――…に、なったんだよね…?)

 それにしても…


「眠い……」


 中学校と違って、高校は少し距離がある。

 だから今までより30分は早く起きないと間に合わないわけで…。


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