虹色コンチェルト

 すぐ近くでヴァイオリンを弄っている女子生徒に琴子が声をかけた。


「あの、すみません。少し見学させてもらってもいいですか?」

「ええ。どうぞ。今部長呼んでくるから待っててもらえる?」

「あ、はい!」


 部長、という言葉に琴子の声が弾んだ。

(それにしても、凄い人数……。ここって、一番広いレッスン室だよね…きっと)

 ざっと数えて50人以上はいるだろうか。

 音羽はこの人数だけで圧倒されてしまい、

震えだしそうになる自分の手をギュッと握り締めた。


「こんにちは。オーケストラ部へようこそ」


 声をかけられて、

音羽はハッとそっちへ顔を向けた。


「部長の清浦です。今日は自由に見学していって下さいね」

「はい!宜しくお願いしますっ」

「……お、お願いします…っ」


 はきはきと挨拶を交わす琴子に釣られて音羽もペコリと頭を下げた。


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