虹色コンチェルト
「大丈夫ですよ。そんなに畏まらなくても。――君たちは音楽科ですね。専攻を聞いてもいいかな?」
彼の微笑む表情が凄く優しくて、
緊張が少しずつ解けて行く。
そして、清浦の言葉に琴子が元気に受け答えた。
「はい!私はオーボエ専攻で、できればオケ部でもオーボエを希望したいです!」
「そうですか。――君は?」
「!?」
優しい視線がこっちに向けられ、
音羽はうろたえてしまう。
(どう、しよう……まだ迷ってるのに…)
音羽が口籠っていると、
心配に思ったのか、
琴子が助け船を出してくれた。
「この子はまだ専攻を迷っているみたいで、今日は何も聞かないであげてもらえますか?」
(!?……琴ちゃん…)