虹色コンチェルト

 パタパタ…と、気持ち慌てて階段を下りてリビングへ。


「おはよう……お母さん…」


 キッチンで朝食を作っている母親の背中に声を掛けた。


「音羽ったら、のんびりし過ぎよ!一人で起きられるようにならなくちゃ。もう高校生なんだから」

「…うん」


 そして、リビングのソファーにもう一人。

 音羽と同じ校章の入った制服を着た、

さっき起こしに来てくれた男の子と目が合った。


「やっと下りてきたか。まだ髪がボサボサだぞ?やってやるから、ちょっとこっち来い」


 ソファーの隣をポンポン叩く、幼馴染の鳥羽瀬錬次(トバセ レンジ)に、

考えるようにゆっくり瞬きをしてからコクリと頷いた。

 それを見ていた母親が、大きな溜息を零した。


「錬くん、ごめんねー。音羽ったら、いつになっても子供で」

「ああ、別に平気ですよ。もう日課のようなもんなんで」


 隣に座ると、頭一つ分以上下にある音羽の髪を弄りながら、

錬次が小さく笑ってそう告げた。


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