虹色コンチェルト

「ほら、できたぞ」

「……ありがとう」


 髪に触れると、綺麗に編み込まれた感触が指に伝わる。

 可愛く結ってもらったことで、

少しだけテンションが上がった。

 しかしそれ以上に、

母親の方が嬉しそうに声を上げた。


「あらー。相変わらず器用ね!錬くん」

「これも昔からやってることなんで、すっかり慣れさせられましたよ」

「いつになったら音羽は、錬くん離れするのかしらねえ」

「…お母さん、煩い」


 プゥと頬を膨らませてソファから立ち上がると、学校へ行く準備をする。

 その間、リビングでは母親と錬次の楽しそうな会話が飛び交っていた。

(うーん……)

 歌も歌いたいし、フルートもやりたい。

(どっちを、専攻しようかな……)



< 5 / 38 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop