虹色コンチェルト


 ――…


「で、お前は決めたのか?」

「ん……?」

「歌とフルート」

「うーん……まだ、迷ってるところなの」


 青空の下、錬次と並んで学校へ向かっている途中。


「そうか。まあ好きな方取ればいいとは思うけど、片方に決めたからって、もう片方を止めちまうことはないんだからな」


 チラリ、

 錬次を仰ぎ見る。

 少し、

彼の身長が伸びたような気がする。


「それは、錬ちゃんも同じ…だよ?」

「……俺のことはいいんだ」


 少し不機嫌そうに前を向く錬次。

 そんな彼が少し寂しいと、音羽は小さな溜息を零した。

(錬ちゃん、いつまで我慢しているつもりなんだろう…)

 これ以上は何も言えないまま、

学校の門を潜った。


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