虹色コンチェルト
ココ、聖煌学園高等部には、
普通科に加え音楽科と体育科がある。
規模が大きいためか、部活の種類も多く、
この通り、門から生徒昇降口にかけての部活勧誘活動が盛大に行われるのだ。
「これ…一週間は続くんだよね?」
「だろうな。なんせ、生徒数が都内一だからな。有力な人材は争奪戦じゃないか?」
「争奪戦……錬ちゃんも?」
「っ…はあ?俺?」
錬次の驚いた顔を怪訝そうに見上げる。
「だって、錬ちゃん、水泳もピアノも…上手、だから」
言ってしまってハッとする。
彼に対してピアノは禁句だからだ。
案の定、錬次の表情がサッと曇った。
音羽は戸惑いに瞳を揺らして視線を落とす。
「ごめん、ね…。でも、錬ちゃんのピアノ…好きだから…」
もっと聴いていたいって思わずにはいられない。
それに、やっぱりみんなにも聴いてもらいたいって思う。
(これって、いけないことなの…?)