ギャルとメガブス
そのあまりにもあっけらかんとして明るい笑顔は、到底幽霊だなんて信じられないようなものだった。


けれど、彼は幽霊なのだ。


私は複雑な心境で、走り寄って来る俊くんを見ていた。

俊くんはスクーターを押す私の傍らに立つと、私を見上げて言った。


「公園に行こう!」


俊くんは、スクーターのハンドルを握る私の手に、自分の手を掛けた。

奇妙な感触に、私はぎょっとして思わず手を引っ込めた。

やけに冷たくて、湿っているような感じなのだが、実際には濡れていない。

そして、重量を全く感じさせなかった。
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