ギャルとメガブス
俊くんと二人でピアノを弾いて、楽譜に一つ一つ音符を書き込んでいく、ただそれだけのこの時間が、何だかとても新鮮だった。

誰にちやほやされるわけでもないが、俊くんと一緒にいると、とても居心地が良かった。


誰の目を気にする必要もなかった。


俊くんは、私が思い切りお洒落をして行こうが、部屋着のくたくたなTシャツで行こうが、私の顔を見るととても嬉しそうな顔をしてくれた。

勿論、お洒落をして行けば褒めてくれることもあったが、それは本当に、おまけみたいなものだった。


逆に「何それ」と笑われることもあった。

子供の視線から見ると、流行最先端の私のファッションは、時として滑稽に映るようだったが、それについて二人で議論し合ったり、笑い合ったりするのもまた楽しかった。
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