ギャルとメガブス
私の持ち込む若干大人の視点と、俊くんが思い出させてくれる子供の視点。

最初の数日はぶつかり合ったりもしたが、今ではそのギャップすら、二人の間でマイナス要素にはなり得なかった。


俊くんは、私と会えること自体を重要視してくれていた。

つまり、俊くんの前では、自分を取り繕う必要がなかった。




毎日、俊くんとピアノを弾いている時間が、一番楽しかった。

いつの間にか、私が酷く怯えていた、俊くんの「呪うよ」なんていう言葉も忘れていた。


いや、むしろ俊くんが幽霊だということすら、うっかりすると忘れてしまいそうになった。


そして、自分がもう大人なのだということも、俊くんといると、時々忘れそうになった。
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