ギャルとメガブス
「今日は何だか、元気ないみたいだね」


いつものように富士見が丘の線路で待ち合わせ、学校の音楽室に忍び込む道すがら、私は俊くんに指摘された。


「どうしたの? 具合悪いの?」


私の先を歩く俊くんが、首だけ振り向いて尋ねる。


「彼氏とケンカしちゃったの」

「えーっ、みいちゃん彼氏いるの?」


俊くんは大笑いした。


「やーらしー」

「やらしくないわよ。大人になったら、皆いるもんなの」

「……そうなんだ」


俊くんは笑うのをやめた。

そして、ちょっと寂しそうな表情をして俯いた。
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