ギャルとメガブス
「――そんなことより、曲、作ろうよ」

「うん」


俊くんが、ピアノの蓋を開け、中のカバーを外した。

私は鞄から五線譜を取り出し、ピアノの譜面台にセットした。



俊くんと再会してから、既に二週間が過ぎようとしていたが、曲はまだ未完成だった。

それというのも、私も俊くんも、まるで曲が出来上がるのを遠ざけているかのように、出来上がった部分にケチをつけ、削ったり付け足したり、わざわざ練り直しの作業を繰り返していたのだ。


だから、作曲作業はあまり捗っていなかった。

でも、それで良かった。



私はむしろ、この時間が永遠にずっと続けば良いとすら思っていた。
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