ギャルとメガブス
「――行こうとしたこともあるよ」

「したこと?」

「行けなかった」

「どうして?」

「分からないけれど……あの踏切から離れようとすると、物凄く疲れるんだ。

だから、遠く離れた場所には、行ったことがないよ。

せいぜい、この街一帯が限度」


地縛霊、というオカルトチックな言葉が、脳裏を過ぎった。


「僕さ、幽霊でしょ?」

「まあ、そうね」

「時々、便利なこともあるけどね」

「カギを開けたり、センサーを誤魔化したり?」

「そうそう。

でもね、不便なことの方が、多分多いんだと思うよ。

それに、テレビでよくお化けの番組やってるでしょ?

ああいうので言ってること、そんなに当たってないよ」
< 139 / 215 >

この作品をシェア

pagetop