ギャルとメガブス
「コーイチ……」


私はそれでも、見慣れたコーイチの顔に少しだけホッとして、涙がじわりと目尻に浮かんだ。


「来てくれたのね」

「っていうかァ、お前、何やってんの? って聞いてんだけど、俺」


コーイチは立ったまま腕組みをして、私を見下ろしている。

私は口篭って、ただコーイチに縋るような視線を向けた。

コーイチは舌を打った。


「黙ってちゃ、分かんねーだろ! 何か言えよ、ミナ」

「まあまあ、ちょっとお座りになって」


警備員が、コーイチに椅子を勧める。

コーイチは面白くなさそうな表情で、私の隣に乱暴に腰掛けた。
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