ギャルとメガブス
コーイチが、無言で応接室から出て行こうとした。


「待って!」


私は警備員たちに軽く頭を下げ、慌てて彼の後を追う。

無音の廊下に足音だけを響かせながら、私はほっと胸を撫で下ろした。


良かった。

何はともあれ、大事にならずに済んだ。

奇跡的ではないだろうか。


「コーイチ……ありがとう」


私はコーイチの背中に向かって呟いた。

コーイチが、肩越しに振り向いた。
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