ギャルとメガブス
自分の訴えが通らずに、むしゃくしゃした気持ちで食堂の椅子に座って爪を噛んでいると、私の隣の席に誰か座った。


「あんた、そんなんじゃ出られないよ」


やけに明るい声の男だった。

私より年上なのか若いのか、無精ひげのせいで判別できない。

代々木公園辺りに溜まっている、ヒッピーかぶれみたいなドレッドだった。


「余計なお世話だし」

「まあ、出たいんなら、俺の言うこと、ちょっとぐらい聞いたほうが良いよ」


私はちら、とそのドレッドの顔を見た。

ドレッドは、手に持っていたペットボトルのコーラをグビグビと美味そうに飲んだ。
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