ギャルとメガブス
だって、常識的に考えれば、幽霊なんているわけがない。

俊くんと出会う以前の私なら、絶対にそんなもの信じなかった。

けれど……俊くんと過ごした楽しい時間が全部妄想だったと考えることは、寂し過ぎる。


一気にシュンと萎れてしまった私の肩を、男は励ますように軽く叩いた。


「でもさ、それも、出てから会いに行けば分かることだろ?」

「まあ、ね」


私は俯いた。

ああ、俊くんに会いたい。

ここから出たら、真っ先に会いに行くのに。


「でさ、そこで頼みなんだけど。

俺も、幽霊に会いたいんだよね」

「はァ?」


思わず大声を張り上げてしまい、私は慌てて自分の口を押さえた。

周囲を見回すと、食堂にいた患者たち全員が、私を振り返っていた。
< 187 / 215 >

この作品をシェア

pagetop