ギャルとメガブス
そうすれば、ほら。

鏡の中の私は、完璧な笑顔でにんまりと笑う。

超カワイイ。

お人形みたい。

そこには、有名ギャルブランドのカリスマショップ店員である「ミナ」が、強気で自信たっぷりな笑顔を浮かべているのだ。



「……誰が、メガブスよ」


私は呟いて立ち上がった。



日の光が届かず年中薄暗い、マンションの狭苦しい玄関で、山のように積み上げられた靴の中から十センチヒールのパンプスを選び出す。

近所履きのサンダルを、凶悪に尖ったヒールの先で踏み付けて、私は外の光の中へと出て行った。
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