ギャルとメガブス
面会室へ行くと、そこにいたのはやはりコーイチではなかった。

しかし、私の胸は締め付けられるように痛んだ。

面会室の簡素な折り畳み椅子に座っていたのは、憔悴した表情の母親だった。


「お母さん……」


私は入り口で呟き、立ち止まった。

母は、ゆっくりと顔を上げ、私を見た。

そして、弱々しく微笑んだ。


「みなこ。久しぶり」

「……久しぶり」

「思ったより、元気そうね。

良かった」


私は背後からついてきた看護婦に背中を押され、面会室へ押し込められた。

仕方なく、簡素なテーブルを挟んで母の向かい側に置かれた、もう一脚の折り畳み椅子に腰を下ろす。
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