ギャルとメガブス
「あの、今夜、富士見が丘へ行こうと思うんだけど」

「マジ? 行く行く!」

「でも……ね……もしかしたら、俊くん、いないかもしれないよ」


自分の声が低くなるのを感じた。
私は不安だった。

本当に、俊くんはいるのだろうか?

会いたい気持ちと、もし行っていなかったら……という不安で、板挟みになっていた。


マコトはそんな私を笑い飛ばす。


「え~?

何、暗い声出してんの?

大丈夫っしょ、いるいる、多分いる」

「何でそんなに軽々しく言うのよ!

もし期待して行って、いなかったら、私……」

「そん時はそん時でしょ。

だって、もしもだよ。

本当にいるとしたらさ、その俊くんって言うの?

その子、毎日ずっとみいちゃんのこと、待ってるんでしょ?

みいちゃんが精神科に押し込められたことも知らないで、心配してるだろうよ。

行って、元気な顔見せてあげなよ。

そんでさ、もし俊くんがいなかったら、二人で自棄酒しようや」

「適当だなー、もう」


マコトのあっけらかんとした調子に、私は良い意味でペースが崩れた。
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