ギャルとメガブス
カツン、カツン。


ヒールの靴が、路地に反響する。


一歩足を踏み出す度に、超ミニ丈のスカートの裾がフリフリと揺れる。

すれ違う人々はそれに誘われるかのように、私にちらちらと視線を向ける。



地味な装いの大学生風の男の子が、すれ違い様に眩しそうな視線を私に向け、それから悪いことでもしてしまったかのように、慌てて視線を落とした。


私は大きなサングラスの下で、無表情にそれをちらりと見た。




ふん。


あんたに私みたいな良い女はムリ。

分かる?

私はカワイイの。

私はモテモテなの。

私はカリスマ店員だし、

もちろん仕事だってできるのよ。

皆が私をカワイイと思っているのよ。

男は性欲にぎらついた視線で私を追うし、

女は憧憬か嫉妬を浮かべた目で私を眺める。

そう、今の私は相当高いレベルにまで上り詰めた、まさに「良い女」の縮図なのよ。



だから、何も怖いものなんてない。
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