ギャルとメガブス
カンカンカンカン……。

踏み切りの警報音。


ああ、だけど、確かに……。

私は閉まり行く遮断機のポールの隙間を縫って、向こう側へ走った。


「俊くん!」


そこには、小さな影が。


「俊くん!!」


私は俊くんに抱きついた。

周囲には、まだ多くの人影があった。

通り過ぎる人々は皆、私を頭のおかしい人間を見るような目で眺めている。


けれど、周囲からどう見られたって気にしない。

既に私は、精神病棟に入れられて、散々頭がおかしい扱いをされてきたのだ。

今更少しぐらい恥をかいたって、何ともない。


それよりも、今は……。


背後で電車が過ぎ行く轟音。

私は、俊くんの細い身体をしっかりと抱き締めた。

体中に寒気が走って、指先までもが変な風に痺れたけれど、そんなことはお構いなしで。


「みいちゃん……会いたかったよぅ……」


俊くんのべそかき声が、耳元で聞こえて、私は何度も頷いた。
< 202 / 215 >

この作品をシェア

pagetop