ギャルとメガブス
神泉の駅から電車に乗り、勤務地である渋谷へと向かう。

職場へ到着すると、後輩のりえが、アップにしたふわふわの綿菓子みたいな髪型を揺らして、小走りに近づいてきた。


「おはよーございまーす!

ミナさん、見ましたァ?

今月のチェルシーに載ってたミナさんの写真、マジ激カワなんですけどォ」

「えー、ありがとー!

良かった、変な顔になってなくて。

何回も撮影し直したんだよね、あの取材の時。

え、まだやるの? みたいなァ」

「いいなぁ。

私も取材とかされちゃうくらいになりたいですゥ」

「りえちゃんのネイル、超カワイイね!

それ、何処でやったの?」

「これですかー?

あのですねぇ、道玄坂の……」 


毎朝のやり取り。

服を褒め合い、ネイルを褒め合い、髪を褒め合い、化粧道具の新商品の話題を情報交換する。

そんなことを、店の商品生理やレジ開け作業を行いつつ、私たちは開店時間まで延々と喋り続ける。

そうすることで、私たちは更に良い女へと磨かれてゆくのだ。
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